2009年10月27日

よき仲間たちと

 大学の同期と1年ぶりの旅行を楽しんできた杉村です。今回は、信州紀行をお届けします。
shin1.jpg shin10.jpg
 春は里から駆け上がり、秋は山から降りてくる。信濃路の高原は紅葉が見ごろを迎え、街中でもケヤキが朽葉色に粧いを整えていた。
shin2.jpg
 昨年、琵琶湖近くの余呉湖で天然ウナギと鮒鮓、猪などを食べ、今年は長野で山里料理に新蕎麦と決まった。善光寺と東山魁夷館・信濃美術館に立ち寄った後、車は一路、野沢温泉へ。道中の千曲川沿いの道は、河川敷に広がる畑と遠くで上がる野焼きの煙が旅情を誘う。車中は、缶ビールとつまみを手に四方山話に花が咲き、にぎやかなこと。

shin3.jpg
 宿は、熊の手洗湯の前にある「中島屋旅館」。野沢に来たからには、13ある外湯を回らねば価値がないということで、着替えて早速出動した。1湯目の「真湯」は熱かった。湯船に足をつけると、みるみる間に赤くなる。体が冷えていたということもあろうが、熱いというより痛いのである。
 野沢菜を茹でる光景が風物詩となっている麻釜を見た後、2湯目は野沢のシンボル「大湯」へ。ここは、ぬる湯の湯船があり快適に入れた。3湯目は、「大湯」から徒歩1分の「河原湯」。体が慣れたのか、熱くてもすんなりと入浴できた。

shin4.jpg shin11.jpg
 湯上がりのほてった体に、秋冷の風が心地よい。部屋でこの日、何度目かの乾杯をし、飲み干すビールの旨いこと。胃袋も準備万端で、夕食の時間を心待ちにして鳴るのであった。夕餉の膳には、千切りにしたジャガイモを水にさらした後、酢と砂糖で味つけして油で炒めた「いもなます」をはじめ、蕗味噌、信州サーモンの刺身など、素朴な山の幸が並べられた。
shin5.jpg
 酒は、いつものことながら持参した。お気に入りの山形「上喜元」から選んだのは、旨口タイプの美山錦を磨いた純米大吟醸だ。最初、発泡酒のような微炭酸を感じたが、飲むにつれて山里の濃い味に一歩もひかず、かつ邪魔をしない食中酒の優等生に見事に変身していくのである。

shin6.jpg
 お楽しみは熊肉料理だった。5人中2人が味噌と生姜で味を付けた「信濃焼」、2人が醤油とクルミの「熊湯焼」、1人がシチューの「マタギぱい」で、熊肉は臭みもなく牛よりしっかりとした繊維質の食感であった。「俺のほうが旨い」などと座は盛り上がり、僕を除いてほぼ公務員という堅い職業柄には似つかないくだけた話がそれに輪をかけたが、ここに記すのはやめておこう。
 食後に、また外湯をはしごした。温泉街の一番北にある「滝の湯」から「麻釜の湯」、「上寺湯」と坂を下り、最後は旅館前の「熊の手洗湯」へ。熊の手洗湯が野沢では一番ぬるく、あまりの気持ちよさに洗い場に寝そべった。湯船から間断なくあふれ出す源泉が体を温め、流れていく。その湯音が快いリズムを奏で、ついうとうととしてしまった。

shin7.jpg shin12.jpg
 翌朝は秋晴れの空が広がり、戸隠へと向かった。ブナやカラ松、白樺などが色づき、その色の多さと織りなす色の美に見とれた。蕎麦は戸隠神社中社前の「戸隠そば苑」を早手回しで予約しておいた。この時期、戸隠や黒姫の新蕎麦を食べにくるファンで混むのは必定であり、空きっ腹で長時間待たされるほどイライラ感の募ることはない。
shin8.jpg shin9.jpg
 前菜と熱々の天ぷらを従えて登場した新蕎麦は、食べやすいよう竹のザルに一口分ずつに分けられていた。同店の徹底したこだわりに興味のある方はHPを見ていただくとして、山の伏流水で締めた蕎麦を見た瞬間に箸が動き、撮影をしばし忘れていた。
 つるっとした喉越し、噛むほどに広がる甘さ。淡泊だが味わいは深く余韻となって響く。わざわざ来た甲斐があったと満足しながら、はや来年の旅へと思いは駆けめぐるのであった。よき仲間たちの健康と家内安全を心から祈って筆をおく。
posted by ライターハウス at 10:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 専務日記